シニアが求める新商品開発のポイントは何か?高齢者向け「介護食」市場の将来は?
昨今、日本では「人口減少社会」「少子高齢化社会」とテレビのニュースなどでも良く目にします。身近でも感じるくらいに、高齢化は進んでいるので高齢者向けの食品市場は広がっていると思われます。高齢者=介護食=嚥下・咀嚼困難者用食品というイメージが強く、スプーンで食べるゼリー状のものや柔らかくて食べやすい食品が広がっているのかと思い改めて調べてみました。
そこで介護食品を「ユニバーサルデザインフード」と定め、基準作りや普及活動を続けている日本介護食品協議会の統計情報がホームページに公開されていたので色んな角度から分析してみました。
拡大傾向にあるユニバーサルデザインフード
ユニバーサルデザインフードとは?
食品メーカーなどで構成されている日本介護食品協議会で定められた規格で、噛む力や飲み込む力が弱くなった人のために食べやすさに配慮した加工食品のことです。「かたさ」や「粘度」に応じて4段階に区分され、商品に表示されています。「区分1(容易にかめる)」通常品にほぼ近いものから、「区分2(歯ぐきでつぶせる)」、「区分3(舌でつぶせる)」、「区分4(かまなくてよい)」と嚥下・咀嚼困難者食品になっていき、ゼリー状のような「とろみ調整食品」までに分類されています。
区分 | 区分1 容易にかめる |
区分2 歯ぐきでつぶせる |
区分3 舌でつぶせる |
区分4 かまなくてもよい |
かむ力の目安 | 固いものや大きいものはやや食べづらい | 固いものや大きいものは食べづらい | 細かくてやわらかければ食べられる | 固形物は小さくても食べづらい |
飲み込む力の目安 | 普通に飲み込める | ものによっては飲み込みづらいことがある | 水やお茶が飲み込みづらいことがある | 水やお茶が飲み込みづらい |
増加しているのは業務用?市販用?
※本統計は日本介護食品協議会会員企業の「ユニバーサルデザインフード生産統計」です。介護食品全体の市場規模を表すものではありません。
そもそも、介護食品市場は広がっているのか?
上記の注意書き通り、介護食品全体の市場規模を表すものではありませんが、上記のグラフより、ユニバーサルデザインフードの生産金額は2007年~2016年の10年間で4倍以上増加しています。また、業務用品は市販用品のおおよそ2倍程度の金額規模があり、業務用、市販用共に順調に伸長していることが確認できました。今後、高齢者人口は増加していくため、この流れは続いていくでしょう。
増加している区分はどれ?
②グラフの区分別での推移を見てみました。
一番伸長しているのは、「区分3(舌でつぶせる)」で、2007年から3倍以上に推移しています。次に、「区分1(容易にかめる)」、「とろみ調整食品」と続いていきます。当初、思っていた嚥下・咀嚼困難者用の食品が意外に伸びておらず、通常品に近い「区分1(容易にかめる)」が2014年ごろからボリュームが拡大しているようです。全てのシニアの方が、嚥下や咀嚼困難者ではないのは当然で、60歳以上の方でもアクティブシニアのように健康的で活動的な方も多々お見えになるので、通常品で健康に寄与しそうな減塩や低糖、栄養補助的な食品、少し通常品より柔らかく食べやすくなっている食品が求められているのではないかと思われます。
「高齢者=介護食≠嚥下・咀嚼困難者用食品」という捉え方を含め、シニア向けの通常品に近い商品に需要が広がっている可能性もあると思われます。
増加しているのは常温?冷蔵?冷凍?
③のグラフは温度帯別の推移を表しております。温度帯別にみると、2013年までは、保管しやすい常温が上位で冷凍と同様な流れで増加しておりましたが、2014年を機に冷凍が常温と入れ替わり大きく伸長していることが見てとれます。
先の②グラフの区分別でも2014年から「区分1(容易にかめる)」、「区分3(舌でつぶせる)」が伸びており、通常品に近い区分1、舌でつぶせる程度の区分3が大きく伸長していることと関連性があり、冷凍品の取り扱いは、今後も増加していくのではないかと推測されます。
当社での取り組み
- 私どもカネハツでは、まだスタートしたばかりですがシニア世代をターゲットとした宅配サービスを行っている企業様に向けて、ほぼ通常品に近い食感の冷凍惣菜を提供しております。このような冷凍惣菜は、味や鮮度が落ちることなくお召し上がりいただける点を評価されてており、だんだんと需要が増えております。
- このことからも①業務用、②区分1(容易にかめる)レベル、③冷凍温度帯のポイントを押さえた介護食「ユニバーサルデザインフード」は、今後も進んでいく超高齢社会での高齢者向け食品市場は、多くのチャネルを通じて広がっていくことが予測されます。
- 「高齢者=嚥下・咀嚼困難者」ととらわれず、通常品に近い食感且つ、味や鮮度を落とすことなく美味しくお召し上がりいただける商品が今後更に求められていく可能性が高くなるでしょう。
引用元:日本介護食品協議会 統計情報
日本介護食品協議会 ユニバーサルデザインフードとは
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