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日本で栄養失調? 高齢者で増加する「低栄養」

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日本は世界で一番食べ物を捨てている国と言われていますが、その反面、1日3回の食事をきちんと摂っているのに「低栄養」になってしまう人が、高齢者を中心に増えているとも言われています。
世の中に食べ物が溢れており、栄養の過剰摂取が警戒されるなか、なぜこうした正反対のことが起こっているのでしょうか?

低栄養とは

「低栄養」とは、栄養素の摂取が生体の必要量より少ないときにおこる体の状態のことをいいます。
健康的に生きるために必要な量の栄養素が十分摂れていない状態を指します。その中でも特に、たんぱく質とエネルギーが充分に摂れていない状態のことを「PEM(Protein energy malnutriton):たんぱく質・エネルギー欠乏(症)」といいます。
一般的に年を重ねるにつれて、食事の量が少なくなり、あっさりしたものを好むようになるため、食事に偏りが生じやすくなります。このような食生活を長く続けると、たんぱく質やエネルギーなど生きていくために必要な栄養が不足し、低栄養となるリスクが高まります。
また果物や生野菜・肉類をあまり食べず、野菜類もよく煮たものしか口にしなくなると、ビタミンやミネラル類も不足しがちになります。固いものや繊維質の多いものを食べることが難しくなってしまうため、食物繊維が不足しがちになってしまうこともあります。
高齢者では特に低栄養が問題となっており、寝たきりの人はその割合が高くなっています。低栄養は、血清のアルブミンの値が一定以下になっているか、また体重がどれくらいの割合で減少しているかといったことから判断されます。
BMI(体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))が20以下の高齢者は低栄養のリスクが高まり、注意が必要です。

性・年齢階級別にみると、80 歳以上では男女とも約2割が低栄養傾向にあると言われています。


低栄養傾向者(BMI≦20kg/m2)の割合(65歳以上、性・年齢階級別)

低栄養のグラフ①.jpg

(出展元:厚生労働省 平成 29 年国民健康・栄養調査結果の概要より)

低栄養の症状・原因は?

低栄養の代表的な症状

日々の食事が気づかないうちに栄養が減っていたり、偏っていたりすることによって身体に様々な変化が起こります。その症状としては「体重減少」、「骨格筋の筋肉量や筋力の低下」、「元気がない」、「風邪など感染症にかかりやすく、治りにくい」、「傷が治りにくい」、「下半身や腹部がむくみやすい」などがあげられます。

低栄養の主な原因は?

低栄養の原因は、生活環境、年齢に伴う機能の低下、精神的要因など1つないし複数の要因が重なって食欲低下や食事摂取量の減少、偏った食事になります。食事量が減れば体力もなくなるため、活動量も減り食欲低下となり、結果的に低栄養を招く悪循環になります。


  1. 高齢者夫婦世帯や一人暮らしによる孤食
    • 買い物や調理を負担に感じてしまう。一人だから簡単に済ませてしまう。(菓子パン、麺類、ごはん+味噌汁のみ 等)
  2.  噛むことや飲み込む機能の低下
    • 歯を失ったり、義歯による痛みによって食物繊維が多い食べ物を避け、柔らかい食べ物が中心になってしまう。
  3. うつ病や認知機能の低下
    • うつ病や認知機能の低下により、食べることへの意欲が低下してしまう。


低栄養の予防・ケアとは

      低栄養の予防・ケアとして、下記の4点があげられます。

  1. まずは1日3食きっちり食べる
    • 1回に食べる量が少ないため、毎日1日3食食事をしないと1日に必要なエネルギーやたんぱく質が不足します。また規則正しい食事リズムは生活リズムを整えることにもなり、活動することで空腹感も感じられ、きちんと食事をとることができます。
  2. 楽しい食事にし、美味しく食べる
    • デイサービスなど地域支援事業に参加し、外出する機会をつくり誰かと一緒に食事をすることによって、楽しく且つ美味しく食べることができます。楽しく且つ美味しく食べることにより、食事量が増えていくので、不足がちな栄養の摂取に繋がります。
  3. バランスよく食べる
    • 菓子パンや麺類など単品メニューにせず、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などたんぱく質を多く含む食品を毎食おかずに1品入れましょう。好きな物だけに偏らず、少量でも良いのでバランスよく食べるよう心がけましょう。
  4. 栄養補助食品の利用
    • 栄養補助食品は毎日の食事だけでは補えない栄養素を補うために便利な食品です。1人分だけは手間がかかるので作れない・・・そんな方におすすめな少量タイプの商品が世の中には多々あります。

日本は、1970年に「高齢化社会」に突入しました。その後も高齢化率は急激に上昇していき、1995年には高齢社会、2010年には超高齢社会へと突入しました。今後も高齢者率は高くなると予測されており、団塊の世代が75歳以上となる2025年には約30%、2060年には約40%に達すると見られています。

高齢者率が高くなるにつれて、低栄養は更なる社会問題に繋がっていくことが予測されます。まずは周囲の人が気にかけ、ケアしてみましょう。



厚生労働省 平成 29 年国民健康・栄養調査結果の概要
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
公益財団法人長寿科学振興財団

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