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日本におけるフードロスへの取り組み

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日本では「今日食べるものにも困る」という人をあまり目にすることがありません。そのためか、「もったいない」という言葉がある一方、食品を無駄なく使い切るという意識が希薄なのかもしれません。

人間が食べるために生産された食材が、私たちの口に入ることなく処分されてしまう「フードロス」。実は現在、世界中で大きな問題となっています。

食品メーカーやレストランなどの外食産業、スーパーマーケットなどの小売店といった食品産業でも、毎年多くの食品が食べられることもないままに処分されています。フードロスについて知っておくことで、食材を無駄にしない取り組みを進めていきましょう。

日本におけるフードロスの現状

消費者庁の発表している資料によると、日本における食品廃棄物は年間約2,842万tにものぼります。このうち約646万tは、本来食べられるのに廃棄されているとみられています(平成27年度推計)。

2,842万tのうち事業系廃棄物は2,010万t、家庭系廃棄物は832万t。事業系に関しては、実際にはまだ食べられるものが約17%の357万tを占めると考えられています。家庭系では可食部分が289万tと推計されます。

事業系の食品廃棄物で可食部分の割合が増える理由のひとつに、「1/3ルール」という商慣習があります。食品流通業界では食品の製造日から賞味期限までを3分割し、「納入期限は製造日から3分の1の時点まで」「販売期限は3分の2の時点まで」とするものです。

例えば賞味期限が6ヵ月の商品は製造から2か月以内に納品し、4ヵ月以内に売り切らなければなりません。これを過ぎると廃棄されるため、フードロスの大きな要因となっています。

大手の小売店が新鮮な食材を消費者に届けるために始めたルールだとされていますが、現在では日本全国に広がりました。アメリカの納品期限は賞味期限の2分の1、フランスやイタリアでは3分の2、イギリスでは4分の3が一般的だそうです。これらを見ると、日本のルールは世界基準よりも厳しいことがわかります。

これらの期限は不文律であり、法的な根拠がありません。特に菓子メーカーなどの団体は「食品や資源の無駄につながる」と主張しており、緩和する働きかけを行っています。

フードロスを悪化させている要因

フードロスには実にさまざまな要因がありますが、近年取りざたされているのが糖質制限ダイエットの流行によるもの。ライスや麺類などの炭水化物をわざと残すので、提供した食材が無駄になります。

また、インスタ映えを狙った派手な盛り付けの料理やスイーツを、撮影のみして捨ててしまったり、食べきれずに残してしまうといったケースも後を絶ちません。

グルメ情報の口コミサイトなどを通して予約した飲食店を、無断キャンセルする例も増えています。大人数の宴会などのために用意した大量の食材が廃棄されると、大きな無駄になります。

コンビニなどでは弁当類を時間単位で賞味期限管理しているため、毎日一定量の食品が廃棄されます。値引きしてフードロスを抑制している店舗もありますが、フランチャイズの親会社の規定で値引きが禁止されている店舗では実施できません。

もちろん、一般家庭での買い過ぎや作り過ぎによる廃棄も年間で換算するとかなりの量になります。

フードロスに対する取り組み

国や地方自治体では、「3010(さんまるいちまる)運動」の呼びかけなどの取り組みが始まっています。宴会での食べ残しを減らす運動で、乾杯後30分間は席を立たず料理を楽しみ、お開きの10分前になったら席に戻って料理を食べようというものです。

福井県の「のっこさん」や福岡市の「宴会部長完食一徹」など、独自の食べ残しゼロ啓発キャラクターを設定している自治体も増えました。

無断キャンセルの場合、人件費なども考えると店側の負担は計り知れません。2018年11月には業界団体から無断キャンセルに対するキャンセル料の支払い指針も示されましたが、現実に請求することは難しいという現状もあります。そのため、予約時点でデポジット(預り金)が必要な予約システムも登場してきました。無断キャンセル履歴のある電話番号を共有するシステムも登場しているといいます。

フランスでは2015年、スーパーマーケットが慈善団体などの要請に応じて賞味期限切れの売れ残り食品を寄付するよう義務付ける通称「反フードロス法」が可決されました。廃棄量によっては、罰金を徴収されることもあります。

日本でも品質上問題がない賞味期限間近の食品やパッケージの印刷ミスがある食品などを、値引き販売で売り切る取り組みが始まっています。また、次のようなマッチングアプリも登場してきました。

TABETE(タベテ)

飲食店や小売店で発生した余剰食品とユーザーをマッチングし、フードロスを減らすサービスです。店舗側は任意の価格と引取期限を設けて、本来廃棄する予定の食品の情報を掲載します。ユーザー側は近くのお店の余った食品を検索し、Web決済で簡単に購入できます。

Reduce Go(リデュースゴー)

「TEBETE」と同じく飲食店や小売店とユーザーをつなぐアプリサービスですが、こちらは月額料金(1,980円)が設定されています。登録ユーザーは欲しい商品を見つければいくらでもテイクアウト可能で、店舗側には提供した食品の量に応じてサービス会社から利用料金が支払われます。

外食大手の「松屋」では、ライス残しの対策としてプラス50円で定食のご飯を「湯豆腐」に変更できるサービスを行っています。小盛メニューや持ち帰り容器を用意すると、親切な印象を与えることができるかもしれません。

欧米ではこうした持ち帰り容器が用意されている飲食店が一般的です。

まずは業務のなかで取り組めるフードロス対策から

消費者のニーズを満たす多様な商品展開を考えると、フードロスをまったくなくすということは難しいかもしれません。ただ、それらを減らそうと意識することで量を減らすことは十分に可能なはずです。

業態に合った無理のない方法で、フードロスの削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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