チルド包装の賞味革命!MAP包装(ガス置換包装)とは?
食品加工メーカーでは、美味しさや安全性はもちろん、より長期保存ができる商品開発にも努めています。
以前は賞味期限が2~3日しかもたなかった惣菜商品でも、味や風味を損なわず賞味期間を10日から2週間に延長された商品が多数登場してきました。しかも保存料は一切使わず、美味しさと安全性の追求が続けられています。
こうした賞味期限の延長の実現に貢献しているのが、包装技術の進化です。
加工食品の包装方法と賞味期限
加工食品の長期保存法といえば、乾燥や冷凍、加熱殺菌などの方法が古くから用いられています。
例えば、ドライフルーツだと賞味期限は半年から1年、煮干しや干しシイタケなどの乾物だと1年から2年くらいの商品もあります。冷凍食品はこれより短く、賞味期限は長くても半年、短いものだと1~2カ月くらいの商品が多いようです。
加熱殺菌の代表格といえば、レトルト食品や缶詰でしょう。パッケージに封入されているレトルト食品の賞味期限は、おおむね1~2年くらいです。缶詰の場合、果実や野菜の缶詰なら2~3年、水産加工品なら3年くらいの商品を多くみかけます。
このように、加工方法や包装方法により加工食品の賞味期限は大きく異なります。
では、惣菜商品の場合はどうでしょうか?これらの包装技術では、食感や風味が損なわれて美味しさにも影響が出るため、殺菌や冷凍を行わない惣菜商品の賞味期間延長は求められてきました。
しかし、この難題をクリアする方法が近年になってその進化が加速しつつあります。
一例として、高圧ポンプ装置で容器内に圧力をかけて殺菌する「高圧殺菌技術」という方法があります。高圧によって菌は死滅するうえ、食品の細胞を破壊されにくいことから食感を保てるというのが、高圧殺菌技術のメリットです。賞味期限は、商品にもよりますが、数週間から数カ月は保てるとされます。
また、低温で時間をかけながら殺菌していく「低温殺菌」という方法は、高温では風味や色が変化するような商品に用いられ、従来よりも長期保存を実現しています。
さらに最近では、不活性ガスを用いた「MAP包装(ガス置換包装)」という技術も登場しており、当社でもMAP包装機を導入し、徐々に製品開発を進めております。
MAP包装(ガス置換包装)とは?
MAP包装とは、特殊加工した容器内に酸素や窒素、二酸化炭素などのガスを充填して封入する方法で、真空密閉よりも食品の鮮度は長持ちし、変色や劣化を防ぎます。 賞味期限は従来の包装方法に比べ3~4倍ほど長くなり、味や風味も損なわれないロングライフ惣菜商品の開発に貢献しています。
MAP包装のメリットをまとめると、以下の通りです。
- 脂肪・油脂成分の酸化防止
- 色素の酸化による変色・退色の防止
- 腐敗の阻止・微生物抑制
- ビタミンの損失防止
- 香気成分の酸化による異臭・変臭の防止
MAP包装は、充填するガスが保存機能を果たしていることが大きなポイントです。 例えば、窒素には酸化防止や包装の型崩れを抑える効果が、また二酸化炭素には菌の活動を抑える静菌作用があります。
これらのガス組成を、食品ごとにベストな配合を見つけ、保存期限の最大化の追求を課題と捉えています。 カネハツ食品では惣菜メニューごとに最適なガス混合率や包材の材質などを見極めるため、さまざまなパターンで保存試験を実施し、ノウハウの蓄積に努めています。トッピングなどに利用する野菜の色合いを含め、安全で美味しく、より長持ちする惣菜商品開発に取り組んでいます。
このようにMAP包装は、従来の包装技術では実現できなかった味の劣化防止、鮮度感のある外観、さらには使い勝手の良い利便性を兼ね添えた商品開発にも大きく寄与しています。
まとめ
MAP包装の登場により、これまで実現し辛かったカテゴリーの商品の賞味期間の延長が実現することがご理解いただけたかと思います。また「賞味期間の延長の実現」によって食品廃棄ロスの減少、製造効率のアップや発注、在庫管理コストの削減といったように、商品以外のフィールドでも食品小売業界へ様々な変化、進化をもたらすのではないかと期待されています。
和食を中心に、佃煮・煮豆を製造し70年以上続く製造メーカーである当社の商品力、ノウハウとMAP包装との組み合わせで、「賞味期間を長期化したい」「MAP包装を使って消費者ニーズを狙った商品開発をしたい」といったご興味、ご相談をいただけたら幸いです。
実際に、どんな商品がどんな形状でどれ位の賞味期限になるの?という方向けに、当社で商品化されているものを一覧にまとめましたので、ご利用ください。
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