ヘルシーと言われる和食の誇れる点と気をつけるべき点
国内外を問わず、ヘルシーな和食のニーズは大きなものがあります。ただし、和食であればどんな商品でも売れるというわけではありません。たとえば、世代によって好みの味付けや病気の関係で食べられるメニューも異なってきます。
和食はヘルシーという評判は世界からも認められ、私どもも日本人として誇り高く感じています。しかし、海外だけではなく日本人としても和食に対する認識不足があると残念な結果を招かざるを得ません。
それは「塩分」です。
和食の中にも塩分の多い食品があったり、逆に調理の工夫で美味しさを損なわずに減塩することもできます。
和食はヘルシーで健康的!世界的な和食への評価とは
和食が世界でヘルシーフードとして評価されている理由は、おもに2つです。1点目は、1977年に発表された「マクガバンレポート」で、和食が生活習慣病等の予防にもっとも理想的なヘルシー食だとされたこと。
マクガバンレポート(Dietary goals for the United States)は、「アメリカ人が生活習慣病や心臓病にならないためにはどのような食生活を送るべきなのか?」を調査した、5,000ページにも及ぶ食生活のガイドラインです。大規模な調査だけあって、予防医学の先駆けとなるほど世界的な注目を集めました。だからこそ、マクガバンレポートで理想的な食事と評された和食はヘルシーフードの代名詞になったのです。
2点目は、和食がユネスコの「無形文化遺産」に登録されていること。なぜユネスコの無形文化遺産に登録されていることが和食の世界的な評価につながるのかと言えば、単純に食の無形文化遺産が少ないからです。
和食を除けば、「フランスの美食術」や「メキシコの伝統料理」「地中海料理」などが登録されています。和食の場合、
・食材の多様さと素材そのものを生かす調理術
・うま味を重視した栄養バランスの良さ
・四季の移ろいや自然の美しさを表現する繊細な飾り付け
・正月をはじめ、行事と食事がひとつの文化として現代に伝わっている歴史
が認定基準となりました。つまり、和食は世界的に「ヘルシー食」「盛り付けが美しい」「日本文化そのもの」「素材を生かす独特の調理術」と考えられているのです。
和食の何が健康に良いのか
和食が世界各国の食事と比べて優れているのは、「油を使わず、低カロリーなのにおいしい」点でしょう。
フランス料理では、「ソースで料理を食べる」と言われるほどたくさんのソースを使います。基本の出汁に油や酢を加えたり、バターや牛乳を入れたりしてつくるため、基本的にソースは高カロリーです。世界三大料理に数えられる中華料理も、食材を油で素揚げしたり衣をつけて揚げたりする際に大量の油(ラードやごま油など)を使用します。
一方、日本では味やコクの強い動物性の脂肪がほとんど取れなかったため、食材が持つ味や食感を壊さないように調理する技術が発展してきました。油を使わない代わりに、料理の味付けに用いられるのが出汁を始めとする「うま味」です。脂質の摂りすぎは、肥満や肥満からくる生活習慣病の原因にもつながります。
世界保健機構(WHO)の研究によると、世界の3人に1人は肥満です。(※1)ヘルシーフードである和食は、うまく宣伝できれば世界的に流行する可能性を持っているとも言えます。
すべての和食がヘルシーとは限らない!和食の注意点
和食の一番の注意点は、一見そうは見えなくても塩分が多い料理が存在する場合があることです。たとえば、ちくわやはんぺん、かまぼこといった魚を材料とする練り物には、1パックあたり2~4gほどの塩分が含まれています。厚生労働省が推奨する1日あたりの食塩摂取量が男性8g、女性7gであり、インスタントラーメンの食塩量が4~6g前後だということを考えると、かなり高い数値です。
また、和食の調味料である醤油や味噌にも大量の塩が使われています。一般的な濃口しょうゆなら、大さじ1杯あたりの塩分量は2.6g。厚生労働省の調査によれば、和食を食べる機会が多い日本では、1日に摂取している塩分の約7割を調味料から摂っているほど。(※2)
いくら和食がヘルシーでも、塩分を摂りすぎると高血圧等のリスクが高まります。そこで注目していただきたいのが、出汁です。出汁で味付けしたつくだ煮などは、うま味があるため減塩しても薄味に感じません。また、粉山椒やからし、大葉といった「和のスパイス」で辛味や酸味を足すという方法もあります。
ただ、すでに味にバランスが取れている既存のレシピから塩や調味料を減らして味を整えるのは大変です。味の調整にかかる手間やコストを考えれば、最初から「減塩食品」として味付けされているものを使うのも一つの解決策として消費者へ提案が出来ます。
和のスパイスや出汁で魅力的な和食のヘルシーな献立を作りに!
低脂質で低カロリーの和食は、潜在的に世界的にもニーズを持つ商品です。また、高齢者や持病がある方などに限らず、「減塩」「節塩」は生活に健康をもたらす大事な食生活習慣と言えます。既存メニューの改良(減塩化)、新規メニューの開発に、美味しさ、健康をテーマに取り組まれるようでしたら、是非当社までお声掛けください。
(※1)WHO:United Nations Decade of Action on Nutrition
http://www.who.int/nutrition/decade-of-action/en/
(※2)厚生労働省:平成28年「国民健康・栄養調査」の結果
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf
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